京都大学大学院ドイツ文芸表象論奥田研究室最新情報

京都大学ドイツ文芸表象論(奥田)研究室
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文系研究者の環境~ウェブ編③~(松波烈)

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前回述べたことを詳しく言っておくと、今では論文でもネット上資料が使われ言及されるようになっているが、人類はまだまだITには素人であって、酷く間違った使い方をしている。その1つを注意喚起すると:

ウェブからの出典の明示をする時には、当該ページの上位ページなり包括ページなりを示すとか、さらにそのページの作成者なり所有者なりを記すとか、その他、そのページを含んでいるサイトがどのようなものであるのかを明らかにする情報を表示しなければならない。そうやって当該ページに関する情報をなるべく豊富に表示しておいて、仮にそのページが消えた(多々あることだ)としても元はどういった性質のサイト上のどんなページだったのかということが判るようにしなければならず、判ってそのページの関係物やそのページの類似物に辿り着ける可能性を残さなければならない。紙媒体の出典明示をする時に掲載雑誌や掲載書籍を表示するのと同じことだ。それどころかそれプラス出版社から出版年から何から何までまで記すでしょ?これが、その資料の「何」を表示する方法だ、万人が分かっているように。ところが、ウェブからの出典の明示を「URL+閲覧日」でするという奇習が横行している。が、リンクは所詮切れる。また、「閲覧日」など、自分が閲覧した日という個人的情報以外の何でもなく、そのページの記述に辿り着くためのいかなる何も表示していない。その資料の「何」を語るものを一切提供していない。あなたは、文献の出典明示をする時に「読んだ日」を記載するのか?
研究上の出典明示は、本記事のようなブログなどで文字列にリンクを貼っているだけのような処置とはワケが違うはずだが、気楽で非《高級》なネット記事よりもコンセンサスも常識も行き渡っていないかのようであるのは、どうしたことだろうか。

さて前回から見ている小一覧だが次に目を向けたいのは「Wörterbuchnetz」であろう。これは前回書いた諸サイトと違って玄関口から入っても特に動きづらくはない。見ての通りドイツ語各種辞典をほぼ網羅(であってあくまで全網羅とは言っていない、以下同様にして以上同様)している。例えば中高ドイツ語など、おなじみのマティアス・レクサーなどもう持ち歩く必要がない。そういう時代になったのである。いま例えばすぐみつかるのでいいから何かしらのスマホの端末でも買う(これも安くなったものだ。例えばどんな格安スマホにも驚異的画素数・高解像度のカメラが当然装備されてあり、それを「写ルンです」の90年代人から見たらどう見えることか)。タブレットならもっと安いものがある(再三再四言うが、ググられよ!)。別に何の設定も要らない。そのままで、校内Wifiはじめ各種Wifiでこの「Wörterbuchnetz」につながればよい。するとアラふしぎ、図書館巨大書棚何ラック分の100冊は超すであろうレファレンスが、手のひらの上に乗るのである。ドラえもんより遥かにスゴい時代に住んでいることが、お分かりだろうか。こういった電子媒体ネット媒体の今現在の欠点短所をあげつらうことは簡単だがそれが日々昼夜克服されてい(てやがて紙媒体を無用にする水準に達するだろう)るという事実を想ったほうがずっと建設的なこと火を見るよりも明らかである。さて「手のひらの上」だが、「Wörterbuchnetz」には、グリム辞典が載っている!始まったころは工事中だったが現在では「z」まで完備している。あのグリム辞典がCD-ROM!だった事も過去のことにすぎなくなっているのである。もちろん、「Wörterbuchnetz」のようなものが或る日なくなったとき(空虚な空想にすぎないが)には、まず別の類似サイトを探せばいいことだし、或いは、本シリーズのこの記事で書いた方法でPDFを入手しておいたらいいことである。19世紀時点の出版ならグリム辞典もGoogle Booksにある。そのPDFを開くための手元物体もタブレット含め日進月歩するばかりだ。

他に、逆引きなど語の1部分から検索できる辞典(OWIDのErweiterte Stichwortsuche in elexiko)、ハイフネーションが分かるページ(ushuaia.pl)、非常に網羅的な辞典(DWDS (Der deutsche Wortschatz von 1600 bis heute.))、文法項目を網羅したサイト(grammis)、文法解説サイト( Wörterbuch der Linguistik und Nachbardisziplinen / Diccionario de Lingüística y ciencias afines)など、有用なサイトがわんさか有る。

ということで、今見ている小一覧上のサイトの数点やその他を紹介したが、他のリンク先も研究上非常に役立つツールである。他にまだBibliotheca Augustanaというとんでもない超有益サイトのリンクも貼ってあるが、このサイトは開いて見ての通り西洋古典を主として12言語(2019年5月28日現在で)の文献をテキスト提供している。我々として用があるのは「Bibliotheca Germanica」だろうがその年代別一覧を見て分かるように古高ドイツ語・古低ドイツ語・中高ドイツ語・中低ドイツ語を主とする凄まじい網羅ぶりである。20~21世紀も網羅しているからまだ相当に工事中なのだが、ゆくゆくは欧米言語テキスト提供サイトとして最大のものになるのかもしれない。

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