京都大学大学院ドイツ文芸表象論奥田研究室最新情報

京都大学ドイツ文芸表象論(奥田)研究室
京都大学ドイツ文芸表象論(奥田)研究室

Eva Horn教授講演会(松波)

京都大学ドイツ文芸表象論(奥田)研究室

本日15:00~17:00、京都大学文学部第3演習室(吉田キャンパス文学部校舎2階)というコンパクトな教室にて、ウィーン大学よりお越しいただいているEva Horn教授の講演会が開催されました。
この会は、九州大学の小黒康正先生の主催であり、文学研究科の川島隆先生が司会を務められました。日独京都支部やドイツ文学研究科から合計10名近く、われわれからも、奥田先生、総合人間学部の下野君、私、が出席しています。
50分ほどの講演後に、主に主催者・司会者、さらに女性ゲルマニスト3名から意見が表明され、活発に議論が交わされました。

題目は、「気候と文化:人新世における精神史」、詳細はこのプログラムです。

Horn先生の講演の骨子は、この人新世に手付かずの自然というものは存在せず、気候と人間との相互影響関係(という点で無論和辻の『風土』にも言及されました)を考慮せねばならず、要点は人間が気候に及ぼした影響から人間への「フィードバック〔Rückkopplung〕」である、といったものです(よって、議論の時に、自己産出調整系としての自然や日本の「花鳥風月」等が聴講者側から提議されていたのは、講演の主旨とあまり関わっていないように見えました)。

Horn先生の講演は、気候変動に関する多数のグラフ等で現在の状況を説明、「持続可能な開発」の「持続可能(nachhaltig)」の解説、等々、元環境学専攻の私には馴染み深い話題が並んでいた上、たとえ「パプア〔ニューギニア〕」でもこの世に原自然は無いということで『沈黙の春』に言及されたこと、非常に感銘深く、共感深甚でした。この点には、チャールズ・C・マンの『1493』で紹介している北米先住民による気候調整の仮説もかかわると見え、スケール極大の文化史が予感されます。
しかし何よりも、Horn先生がビュフォン、モンテスキュー、ヘルダーを議論の支持にされていたことが興味深く、旧時代の言説のアクチュアリティを強調されているのには、感動、いや感激すらしたものです。

京都大学ドイツ文芸表象論(奥田)研究室